2023/05/16 18:37
その時のメールが残っていたので少し内容に触れます。その製品は、姫路のタンナーさんのクローム鞣し革を使って徳島の藍染屋さんで染められた革で、藍染め革の開発に3年掛かったそうです。革の大きさは200〜250ds (ds:デシ 10cm×10cm)前後で1ds単価は税抜き350円とのご返事でした。ですから小さめの200dsの革でも7万円プラス消費税でした。当時は高いと思いました(買えませんでした)。でも、私が今行なっている藍染ジビエレザーの単価は、私が直接行うpH調整の作業とオイルアップ作業、トップコートの吹き付け作業を抜きにしても、当時のその価格を超えます。しかし、私がお願いしている藍染は素晴らしい手法ですし、ジビエレザーの猪も藍染してみて感じたのですが色の出方が素晴らしいと思います。(エイジング後の状態はこれからです)
話を戻しますが、2017年の頃はまだ藍染革が珍しかったですが、2023年現在ではグーグル検索してみますと藍染革を使用した革製品が珍しくなくなっていると感じました。
私は2023年の1月末に皆様のご協力を得て地元の猪の革(生成り)を手にした訳ですが、この素材をもう少し付加価値をつけた物に出来ないかと考えました。藍色好きな私が、地元で藍を育てるところから収穫、蒅づくり、藍染まで一貫して行なってらっしゃる 藍屋テロワール さんに猪ジビエレザーの藍染ができないか相談したのが2月でした。試しに染めたサンプルの写真です。
生成りの猪革の上にサンプルで染めた(教えていただきながら私が染めました)革をのせています。キレイな藍色が出たと思いました。でも藍屋テロワールさんでも教えて頂いたのですが、藍染後はオイルアップが必要なようです。恥ずかしながら当初は革を持ち込んで染めて頂いたらそれで藍染革ができるという甘い考えでした。サンプルは濡れた状態で持ち帰り、陰干しで乾かした後の状態が写真です。ゴワゴワ感が画像から感じられると思います。この時にはオイルアップが必須であることは理解しました。
ここから、どんな油分を選んだらよいか、どのくらい加えれば良いか、油を入れるタイミングはいつか、色移りを防ぐためにどうしたら良いか等を考えなければなりません。サンプルを小さくカットしてもう一度水分を入れて乾く前の状態から様々なパターンを試してみました。そして、こうすれば良いという方法を見つけ出しました。(その都度、革の状態や染めの状態で調整は必要だと思っています)
そして3月中旬に、今度は染めた革で作品を製作するつもりで少し大きめの革を持って藍屋テロワールさんに伺いました。
1枚は私が作業して、もう1枚はお任せしました。浸けては上げて空気に触れさせてを繰り返し、染まり具合を確認します。藍屋テロワールさんでは、古くから日本に伝わる伝統的な「天然灰汁発酵建て」による藍染をされています。藍染をする蒅液はデリケートで、状態を見ながら休ませたり、温度管理等も必要とおっしゃっていました。
この後、すすぎを行なって水分を含んだままインディレザーに持ち帰り、少し酸性の液に浸して、すすぎを行なって陰干しします。
この後にオイルアップをします。
濃く染まった方の革はもともとシボ感の強くでた革だったのですが、水玉というか自然に濃淡がでて、個性的な感じになりました!
オイルを適度に加えてキッチンペーパーの上でなじませてから、また数日間陰干し。陰干し中に頃合いを感じて革を揉みます。
そして、エアブラシでトップコートを施して藍染ジビエレザー(猪🐗)の完成です。
淡い藍色の方の革を使ってまずはキーホルダーを製作しました。
エイジングがどうなるか楽しみです!
藍色がどのような変化をするのか、茶芯の革のように、藍色の下から芯の色(生成りがエイジングして茶色)が出るのか出ないのか。
藍染ジビエレザー(猪)のエイジングを体感して見ませんか?