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インディレザーで使用している革について

 主に植物タンニンなめしの革を使用しています。染料を使い染められた革が多いです。使用する革は、少量の顔料を含む色もあるのですが、主には染料を使用して色がつけられています。染料を使ってカラーリングされた革は、透明感があり経年変化(エイジング)による色変化が楽しめたり、使っているうちに艶が出てくる楽しみがありますが、顔料で色をペンキの様に上から塗られた革と違い、生きていた頃に持っていた傷やシワ、血筋の部分が革の表面に確認できます。大きな1枚革には、私の手元に到着するまでに作業上、仕方なくついた傷や、もともと持っていた虫刺されの傷、怪我が治ったような傷、生きていた頃のシワや血筋の部分が見られます。インディレザーでは主に1枚革から裁断して革製品を作成しています。目立つ傷や、革の厚みが薄くなってしまっている怪我の部分等は避けて裁断しますが、シワや元々あった虫刺されの傷等は、革の重なり合う部分に使ったり、そのシワの感じや連続性を見て、味わいだと感じられれば表面に使います。革は、一頭一頭に個性があり、同じ革の厚みに加工しても、革の硬さが違ったり、革の個性で染料の染み込み方が少し違うのか色の濃い薄いの個体差が見られます。また、1枚の革から裁断するにしても背中だった部分と、腹の部分では違ってきます。このように個性のある革から作品を作りますので、型紙が同じ作品であっても革の個性の部分は違いとして現れます。私はこの個体差については、それぞれがオンリーワンであって尊いものだと思っております。ご理解いただければ嬉しいです。


コンチョについて

 インディレザーで使用する通称アポロコンチョは私が加工しています。スターリングシルバー(92.5% silver/ 7.5% copper)の小さな円盤をプレスして形を作り、そして「いぶし」加工を行なって谷の部分を変色させています。私が行う「いぶし」加工では、谷の部分は最初はガンメタリック色ぐらいの濃さですが、アポロコンチョをホックの頭として使ううちに、ガンメタリックの部分が徐々に黒に変化してきます。アポロコンチョを作成した直後は「いぶし」で谷の部分がガンメタリック色で、山の部分は私が磨いていますのでシルバーの地金が光ります。この山と谷の境目の部分ですが、うまく言えませんが、加工したてというか、クッキリとしてないのです。このアポロコンチョを、ホックの頭として取り付けることで、開閉のたびに人の指が触れます。人の指で触れられることで、数ヶ月後には、谷部分が黒くなり、山の部分は常に指で磨かれた状態になります。使用していくうちに山と谷の境目がクッキリと自然な感じになってきます。私自身が同じ方法で作成したコンチョを毎日使用するスマートフォンホルダーに取り付けて、触り続けた結果です。

 この様なシルバーコンチョのエイジングも是非、楽しんでいただければと思います。


・左のコンチョが作成から間もない状態です。


・右のコンチョは私が毎日触って7ヶ月程経過したものです。スマートフォンホルダー自体は約1年使っているものです。コンチョのテストで途中で何度か付け替えたためコンチョは7ヶ月程です。

スマートフォンホルダーについて

 スマートフォンが大型化しポケットに入りづらい昨今、どうやって携行すれば良いだろうかと考えまして。昔からベルトやベルトループに小バッグをカラビナでぶら下げるのが割と好きだったことから開発しました。

 スマートフォンが入るものを革で作って、リングとか付けて、それをカラビナとかでベルトに取り付けると「ぶらぶら」するんです。とても。ぶら下げるのが好きなので作る前から「ぶらぶら」の度合いが想像できます。少し歩きづらいと思う。でも拡張性がありますよね。カラビナ外してショルダーストラップとかも付けられるし。でも、そこは融通がきくデザインよりも腰着けに特化し、歩きやすいデザインを選択したのです。なのでベルトに保持するためのループを革で作って本体に縫い付けています。ループはズボンからベルトを抜かなくても装着できるようにジャンパーホック留めです。

 ベルトに取り付けるものをベルトの高さにくっつけると、Tシャツは持ち上がるし、シャツ裾外出しで着るとシャツ上がるし、Gジャンとかも上がるし。ですので、上着をできるだけ持ち上げないようにホルダー本体の位置を下げる事と、下げすぎて、ぶらぶらし過ぎず、椅子に座った時、車のシートに座った時には曲がるような絶妙な位置を狙っています。


 今まで自作して使用してきたスマートフォンホルダー達です。

 自作バージョン1.0 は2017年でした。厚みを出すために”まち”つきのスマートフォンホルダーでした。まちの隙間からスマホが見えるデザインでした。今ひとつだなぁと。そうだ!タンニンなめし革の可塑性を利用してモナカの形を作り、出し入れする部分を被せ蓋にしよう!。私、メッセンジャーバッグとかの被せ蓋カバンが好きなのです。被せ蓋デザインにしたことで携行中はスマホが全面保護できます。

 そして自作バージョン2.0 は2018年。現在とほぼ同じデザインです。同時に、大きめのショルダーバッグを持ち歩く時用に、ショルダーストラップに合体できるバージョン2.1他も作りました。バージョン2.0 も毎日、私と共に歩き、3年程使いました。使用した革は植物タンニンなめしの「モストロ」。背面と被せ蓋がブラックで前面がネイビー色です。エイジングで艶々になっています。内側は豚スエード。2年目に、モストロと豚スエードの接着に使ったゴムのりが弱くなってきたので、一度解体して豚スエードを張り替えて縫い直して、さらに1年使いました。これを使っている時にホックの頭にシルバーのコンチョを取り付ける変更をしました。私自身が銀をプレスして形を作っています。

 バージョン2.0 です。兵庫県のタンナーによって鞣された「モストロ」という革を使っています。前面がネイビーで背面と被せ蓋がブラックです。

 バージョン2.0 の背面です。擦れますので艶がかなり出ています。

 バージョン2.0 は内側の革が豚スエードです。

 2021年になり、イタリアのタンナー、ワルピエ社のブッテーロという革で作ってみたくなり完成したのが自作バージョン3.0 。私が現在も愛用しているものです。前面がブッテーロのナチュラル(生成り)、背面と被せ蓋がブッテーロのボルドー色です。内側には贅沢だと思いましたがイタリアのタンナー、バダラッシカルロ社のプエブロの黒色です。前面のブッテーロのナチュラルは飴色に変化して艶が出てきています。内側のプエブロも当初のさらっとした手触りからツルっとした手触りに変化しています。内側を豚スエードで作成したバージョンでは2年でゴムのりが弱くなってきましたが、プエブロはそれより張りがあるためか、ゴムのりの劣化は1年では感じません。コンチョは毎日触るためか、シルバーの艶感と黒色に変化している部分の感じもとても良いと思います。


 ブッテーロで作成したバージョン3.0 の完成時の写真です。ここからエイジングが始まります。

 エイジング。約1年後です。照明の加減でバックの木目の色が違って写ってしまいました。刻印は途中で入れました。コンチョも途中で取り替えましたが、革は約1年使用したものです。

 2022年、皆様にお届けするためのスマートフォンホルダーを、今までの経験を活かして作成しました。全てを手縫いで縫っています。ゴムのりも、より強いものを使用しています。ホルダーの内側に金属部分がなく、スマートフォンを収めた時に固いものと接触しない設計なので安心して使用できます。出し入れの時に被せ蓋のコンチョの裏面のホックに気をつけさえすれば大丈夫です。使用する革と色は私が良いと思うものを選択して作りました。革の詳細はそれぞれ販売ページに記載します。市場にあるスマートフォンのサイズを調べて S、M、L の3サイズをリリースすることにしました。以下、入る物の大きさの目安です。


 ・Sサイズに入る物の大きさの目安: 高さ138mm 幅70mm   厚さ12.0mm

   ・Mサイズに入る物の大きさの目安: 高さ152mm 幅77mm   厚さ12.0mm

   ・Lサイズに入る物の大きさの目安: 高さ166mm 幅82mm   厚さ12.0mm


 (*上記サイズ内であっても、スマホ形状のように角が丸まっていない場合は入らない可能性があります。)


 左から順にスマートフォンホルダーの、LサイズMサイズSサイズです。一番右はアルミバンパーを装着したiPhone 5Sです。

 オススメする使い方は、スマートフォンにストラップを着けてホルダーに収める方法です。ホルダーを腰に着けた状態での出し入れのやり方ですが、入れる時はストラップを持ちつつ、ホルダーの入り口に合わせて落とせば良いし、出すときは被せ蓋を左手で開けつつ、右手でストラップを持って引き上げるだけです。私はiPhoneにストラップを取り付けられるアルミバンパーを装着して使っています。私のようにアルミバンパーを装着したり、または透明なカバーを装着して使う場合は、バンパーやカバーを装着した状態で、高さ、幅、厚さを測ってS、M、Lのサイズの判断をお願いします。手にグリップするタイプの滑りづらい材質のカバーを装着した状態で使用するときは、サイズ目安のギリギリの寸法のホルダーを選択すると、出し入れしづらくなります。硬く、光沢のある材質のものでしたらサイズ目安のギリギリの寸法のホルダーを選択しても大丈夫です。


着用イメージ。左から L、M、Sサイズです。
ブッテーロのブルーで作成したサンプルです。




特許庁への意匠登録について

・スマートフォンホルダーは特許庁に「スマートフォン携帯ケース」として意匠登録を受けています登録意匠第1726410号

・デニム×レザーの名札ケースは「名札ケース」として意匠登録されました。登録意匠第1743432号。 


商品に関するご注意

革製品を携行するときに注意していただきたいこと

 植物タンニンなめしの革は傷がつきやすく、水分に弱いです。雨などで濡れてしまった場合は柔らかい布で乾拭きして、陰干しで自然乾燥してください。ドライヤーなどを使用した急速乾燥や直射日光による乾燥は避けてください。

 染料で染められた革は、衣類と摩擦があると色移りする可能性があります。淡い色の衣類を着用される時はお気をつけください。また、雨天で衣類が湿っている状態や、汗をかいた状態で接すると通常より色移りしやすいので注意してください。革製品が汗を多く吸ってしまうと、雨や水よりも強いシミになります。汗をかいた際は革製品はポケットから出された方が良いです。